ややネタバレをしながらおすすめしていきますので、嫌な方はご注意ください。
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パン屋再襲撃
ねじまき島クロニクルの主人公と妻のセットと職業が被っているので、
同一人物として捉えて読んだのですが、どうでしょうか。
ずっとそばにいるはずの人間である妻が
自分ではまったく思いもよらない 側面を持っているということ、
非日常へと当然のようにいきなり突然突っ込んでいくこと、
そういう愉快さを持った作品です。
中二階
オフィスから昼食をとりに出て、帰ってくるまでの話。
注釈がとんでもなく多いことで有名ですが、それ以上に
動作は少なく、ほとんどが靴紐やドアノブや紙についてを
執拗に綴り、あれこれ思索しています。
そのへんにあるものを饒舌に語り心理を見出すことは、
ミニマルな考え方にあうのではないでしょうか。
ランドマーク
彼はある一つのものを取り寄せ、使用しながら労働を続けます。
悪人の主人公もそうなのですが、淡々と文句表に出さない労働者のタイプ。
無機質な描写が胸をつきます。
で、私は固有のブランドや同時代的な名詞を書いているものが
好きで、後世の人が読んだときにわかりにくいとも思うのですが、
それはそれで読者は調べたりして時代感を掴んでくれると思うんですよね。
読者は結構粘り強いものです。
検索ワードだけではたどり着かない、Amazonのおすすめにも
縛られない偶然の全く知らないものとの出会い。
それを小説は教えてくれます。