わるるという可愛すぎる猫とおねいさんのお話の「トラと陽子」を描いてらっしゃる黒崎先生の本。
トラと陽子
— 黒崎冬子☝️無敵の未来大作戦✌️😍1巻2巻発売中💪😄✨ (@natsukosama) October 12, 2020
ねこが巨大化して怪獣と戦う話 pic.twitter.com/ZhQCieUYai
トラと陽子(わるると美冴)
— 黒崎冬子☝️無敵の未来大作戦✌️😍1巻2巻発売中💪😄✨ (@natsukosama) October 14, 2020
極悪ねこが巨大化して人々を脅かそうとする話 pic.twitter.com/GrGOsuojuc
画風が昔の少女漫画タッチリスペクトな感じがするのですが、お話の展開は大胆で笑えるし、ライバル?のキャラクター像がしっかりしていてライバルに感情移入してしまいます。
あらすじ。少子化対策に時の総理大臣が「金持ちに一夫多妻・一妻多夫制度を与えよう!」と決める。この総理大臣が、まあ今の政府のように本当にダメで、それをギャグタッチに描いているのだが、笑えるような笑えないような。
ともするとディストピアみたいな話だけど、全体的な空気感としてはのほほんとしているので安心して読める。マイノリティや性被害者が構造の抑圧によって受ける複雑な話を、社会に切り込むわけではなくて若者だけで会話して癒しあうようなシーンが多い。今の若者も、社会に訴えるよりも、せめて自分たちだけで癒しあう構造を求めているのかなと考えた。
黒崎先生って、キャラを好きにさせる力が優れている作家さんな気がする。ともすると嫌な表現になってしまいそうな「自分が良いことして目立ちたい!」「巨乳であることに劣等感を感じてる」みたいなライバルたち。彼らの自己解放・カタルシスを、そのキャラクターへの好感度をじっくり高めながら描いてくれる。生きている人間の悩みなんだな。
また、教師陣がそろいもそろってダメダメだが、校長が生徒たちからファンクラブ作るほど愛されているという設定も唐突なのに今っぽい。みんな好きなものがあり、それを誰も否定しない。否定するのは自分自身くらいか。この感じがとても今の世の中のムードを反映しているように見える。
一応表現として誰も傷つけることがない描き方かというとそうではない。ギリギリ問題かもと思うこともある。痴漢は被害者の捉え方次第な話ではないし、こんなギャグタッチでは片づけられない。小さいころに被害にあったことを乗り越えたらいい話で解決されるべきことではない。だからこそ、また同じような話に突っ込んでみてほしいなとは思う。
逆に現時点では主人公は悩みは小さくさっぱりしてる。それでいてキレイで(おしゃんで?)みんなを憎まずみんなにも憎まれずまるでファンタジーの人。途中から筋肉で解決していく要素も入ってるけど筋肉推しというわけではない。タイプですが筋肉っぽい描写はそこまでなく、さっぱりしていてとにかく好感度が高い。ライバルの引き立て役っぽさも出ているくらい。自分の手で工夫していくという主人公が、政府が定めた制度で安定した幸せを得られるのかわからない。けど、今の時点では多くのキャラが主人公にほっとさせられている。政府が決めた制度や構造にぐるぐる巻きこまれている若者たちが、自分たちの閉鎖的なユートピアを築きあげるのか、それとも違う無敵な未来が待っているのか。かなり楽しみな漫画だと思う。
少子化対策から始まる学園ラブコメ① pic.twitter.com/Hwg3qn42xT
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