82年生まれ、キム・ジヨン

 

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

82年生まれ、キム・ジヨン (単行本)

 

冒頭から15分で、わっと泣き出してしまいそうになった。

さいころから、自分でも気づかない間に、女性は当たり前に、小さくいろいろなものを損なわれている。

それが当たり前で、みんなそうで、あの頃はみんなそうだったから。

周りの男性は、ひどい時もあるが、基本は寄り添ってくれて、間違えて怒った先生も、「気づかずに怒ってすまない、なにかしてほしいことはあるか」と優しく言ってくれて、心がほどけるのだが、追い打ちをかけるように、「でもあいつはお前が好きなんだよ」と、こちらでは理解できないことを言う。

 

なぜ、精神的に未熟な男の子のために、女の子は損なわれなければいけないのかを、ずっと諦めていたのかもしれないけど、いくつになっても、未熟さによって、誰かが損なわれるべきではないと、本当に思った。何歳になっても、問題は複雑さを極めていくだけで、ジェンダーイコールについてを、みんな、小説の中ではじっと聞けるのかもしれない。少なくとも、この本が「売れてる」ということが、これから、大きな力になっていきそうに思う。