- 作者: ハン・ガン,川口恵子,きむふな
- 出版社/メーカー: cuon
- 発売日: 2011/06/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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recommend by jeongina おすすめにはいろんなタイプがあるとおもっていて、例えば、優しい気持ちになってほしいとか、自分がこの本を読んで変化したから読んで欲しいとか。その中で、彼女が勧めてくれたのは、私の作品を彷彿とさせる小説だった。あとがきに書かれた作品のメモ書きにも、「慰めや情け容赦もなく、引き裂かれたまま最後まで、目を見開いて底まで降りていきたかった・もうここからは、違う方向に進みたい。」と書かれてあり、私も白痴や業をテーマにするとき、底までおりていく感覚がある。惜しむらくは、最初の短編では、ヨンへは精神異常者というよりも、夢を恐れつつも自分の中に秩序を見出そうとする、主観的には正常な人間であるのに対して、他の短編では、はっきりと精神異常者として描かれてている点。ただ、そうやって狂ってしまった人をとりまく人々からの目線が、義兄と姉でガラリと変わるし、文章の持つ湿度やテクスチャーも全く変わるので、ハン・ガンという人の筆力の高さに慄いた。
この小説についてではないはなし。話は変わるけど、
「言語は壁」という小説を、今年翻訳してもらったものをjeonginは読んでくれていて、この小説を 勧めてくれたということは、翻訳は質感が伝わることとかも大事にしてくれたんだなと思って、訳者の方に改めて感謝したい。多言語を使っているとわかっていることだけど、言葉は道具にすぎなくて、質感や内容の展開をきちんと描くことによって、言語に依存せずに読者に伝えることができると思う。質感や内容の展開は、言語に依存して生まれるものなので、難しいけど、やることはシンプルだ。